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    息切れ

    息切れとは

    息切れは、体内の酸素が不足したり、二酸化炭素が過多になったりすることで引き起こされます。酸素レベルの低下は頸動脈のセンサーによって、二酸化炭素の増加は脳幹の延髄にあるセンサーによって検出され、これが呼吸の促進を引き起こします。この反応が息切れとして感じられます。息切れが起こるケースの中で代表的なのは2つあります。1つ目は「肺や心臓の疾患によって呼吸が不十分になったケース」、2つ目は「貧血によって酸素を運ぶヘモグロビンの量が減少したケース」です。

    息切れの症状とは?

    息切れとは、呼吸が困難になることを指しますが、その具体的な症状は個々人で異なります。例えば、息苦しさ、空気が十分に吸えない感覚、呼吸しにくいと感じる、息が詰まるような感じ、胸の圧迫感などがあります。

    注意すべき息切れ

    • 軽めの運動をした後に肩で息をする
    • 少し階段を昇降しただけで休憩が
      必要になる
    • 何度も息継ぎしないと話し続けられない

    これらの症状が繰り返し出現する場合は、何らかの健康上の問題を抱えている可能性が高いです。動悸や気分の不調、疲労感を伴うこともあります。これらは「年齢によるもの」と誤解されがちですが、心臓病や他の疾患によって起こっているケースも考えられますので、早いうちから医師の診断を受けるようにしましょう。

    息切れの程度

    息切れの重さを測定する方法は多数存在しますが、近年では修正MRC(mMRC)息切れスケールが広く採用されています。
    日々の生活の中で呼吸困難がどれだけ頻繁に、どれほど強く発生するかを評価するためのものです。Grade0からGrade4までの5つのレベルで構成されており、Grade5は「極めて深刻な息切れ」とされています。

    mMRC息切れスケール

    Grade0 激しい運動時に息切れが生じる。
    Grade1 平坦な道を早歩きした時、緩やかな坂道を歩く時に息切れを感じる。
    Grade2 平地を歩く速度が同年代の人々より遅い。もしくは平坦な道を普段のペースで歩いている時、息切れのために時々停止する必要がある。
    Grade3 平地を約100メートル歩いた時、もしくは数分間歩いた時に息切れで立ち止まってしまう。
    Grade4 息切れが非常にひどく、家から出ることができない。または着替えの際にも息切れが起こる。

    mMRC息切れスケールでGrade2以上の評価を受けた場合は、何らかの健康問題が隠れている可能性があります。

    息切れの原因

    息切れを引き起こす可能性のある病気としては、心不全を含む循環器の障害、気管支喘息のような呼吸器の問題、貧血や甲状腺機能障害などが挙げられます。
    これらのように、息切れの原因は非常に多岐にわたっています。

    原因1:循環器の問題

    • 不整脈
    • 心不全
    • 肺塞栓症
    • 肺高血圧症
    • 冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞) など

    心不全

    心臓のポンプ作用が衰え、血液の循環が不十分になる状態です。これにより肺に液体が溜まって肺水腫を引き起こしたり、胸に水がたまり息苦しさを感じたりすることがあります。

    心不全

    肺塞栓症

    足の静脈からきた血栓が肺動脈を塞ぎ、急激な呼吸の困難をもたらします。

    肺高血圧症

    心臓から肺への血流が障害されて肺動脈の圧力が上昇し、心臓に過度の負担がかかることで息切れを引き起こします。

    冠動脈疾患・不整脈

    冠動脈疾患や不整脈の症状として、息切れが現れることがあります。
    これらの循環器系の問題は、心音の聴診、心電図、胸部X線、心エコー検査によって診断されることが多いです。

    原因2:呼吸器

    • 気管支喘息
    • 気胸
    • COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫)
    • 肺炎
    • 間質性肺炎
    • 肺がん など

    呼吸器系の障害がある場合は、肺が適切に空気を吸収できない、肺胞での酸素と二酸化炭素の交換が不十分である、または空気の排出がスムーズでないことによって、息切れが引き起こされます。
    特定の呼吸パターン、聴診による所見、胸部X線やCTスキャンなどが、診断の際に重要な手がかりとなります。

    原因3:その他の身体疾患

    • 貧血
    • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
    • 肝硬変
    • 腎不全 など

    貧血になると酸素を運ぶ赤血球の数が減少しており、血液の酸素飽和度が適切であっても、体は酸素不足に陥ります。その結果として、息切れが引き起こされます。バセドウ病においては、甲状腺ホルモンが過剰に生成され、体の代謝活動が高まるため、常時運動しているかのような状態になります。これが息切れの原因となることがあります。

    原因4:ストレスやメンタルの問題

    ストレスや精神的な疾患によって息切れを経験することがあります。不安障害やパニック発作の際には、身体的な異常がなくても、急に強い息切れを感じ、死の恐怖を覚えることがあります。この状態は「過呼吸症候群」とも呼ばれます。
    命に危険はないと認識し、落ち着いて呼吸することで症状は徐々に和らぎます。しかし、発作の際の苦痛は非常に大きいため、エチゾラムやロラゼパムといった抗不安薬が必要になる可能性もあります。

    息切れを感じたとき
    何科を受診する?

    息切れの症状が現れた際に、「どの診療科へ行けばいいのか分からない」と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。息切れは多くの場合、呼吸器や循環器に関連する疾患から起こるので、呼吸器内科や循環器内科の医療機関を選ぶことをお勧めします。
    呼吸器内科や循環器内科の医師は息切れの診断に慣れており、たとえ循環器疾患が息切れの原因であっても、呼吸器内科医が適切に診断し、必要に応じて循環器内科医への紹介が可能で、その逆も同様です。

    息切れの診断方法

    息切れを評価するには、患者様から以下の内容をお伺いする必要があります。
    これらの情報を参考に確定診断をつけます。

    • 「息切れはいつから始まったか」
    • 「どのような状況で息切れが発生するか」
    • 「安静にすると症状は改善するか」
    • 「胸の痛みがないか」
    • 「体のどこかにむくみはみられるか」

    一般的な検査としては、血液検査、胸部X線、心電図、酸素飽和度の測定が行われます。さらに、状況に応じて動脈血ガス分析、呼吸機能テスト、胸部CT、心臓のエコー検査が必要とされる可能性もあります。
    当院ではエコー検査専門技師による検査を実施しております。

    息切れの治療方法

    息切れの治療は、その原因となる疾患にもとづいて異なります。症状が軽い場合は、薬を用いた治療や呼吸法が適用されることがあります。一方で、症状が重い、または酸素飽和度が低い場合には、酸素の補給や人工呼吸器を使用する治療を選択することもあります。

    息切れと動悸

    息切れと動悸はよく同時に起こる症状で、心不全や不整脈、肺の疾患、貧血などの症状として起こることもあります。

    息切れが起こりやすい方の特徴

    息切れはどの年齢層でも起こり得ますが、高齢者や肥満体型の方、喫煙者、健康状態が良くない方、運動不足の方は特に悩まされやすい症状です。しかし、若い方であっても、喘息やその他の肺疾患によって息切れを経験することがあります。

    まとめ

    息切れは何らかの不調を示すサインの1つです。それゆえに、早めの診断と適切な治療が求められます。まずは健康的な生活習慣を心がけ、何らかの不調があった場合は、速やかにご相談ください。