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    心房細動

    心房細動とは?

    心房細動は、心臓の心房が正常時の50〜100回よりもはるかに速い、1分間に300回以上の速さでぐるぐる不規則に動く状態です。これにより、脈拍が不規則になったり速くなったりすることがあります。
    心房細動は持続期間で分類分けされており、発作が起きてから1週間以内に治るものを「発作性心房細動」、発作が起きてから1週間から1年以内で治るものを「持続性心房細動」、1年以上のものを「慢性心房細動」といいます。
    心房細動は動悸や息切れ、疲労感などの症状が出ることがあり、脳梗塞心不全のリスクを高めるため、適切な治療が求められます。

    心房細動の症状

    心房細動になると、脈拍が不規則になったり心拍が速くなったりします。具体的には、以下のような症状がみられます。

    • 心臓の鼓動が激しくなる(動悸)
    • 胸部の不快感や痛み(胸痛)
    • 疲労感や体のだるさ(倦怠感)
    • 階段や坂道の昇り降りがきつくて息切れしてしまう
    • めまい

    ただし、心房細動を自覚する方は半数程度で、健康診断の結果や脳梗塞発症後に初めて発見されるケースが多いです。

    心房細動かもしれないと
    思ったときは…

    親指側の手首内側に2本の人差し指を置いて脈を測定する「検脈」を行うことで、心拍数や規則性が確認できます。脈が一定していれば通常とみなされますが、不規則な場合は心房細動の可能性があります。
    脈の乱れが感じられる場合は、ご相談ください。専門医が診断を行って心房細動かどうかを判断し、適切な治療計画を提案します。

    心房細動の原因

    心房細動は加齢とともに発症リスクが高くなります。実際に、患者様の80%は65歳以上の方です。心臓病(弁膜症、心筋症、心筋梗塞)、高血圧、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などが原因で起こることがありますが、原因が特定できないケースもあります。また、喫煙や飲酒、ストレス、過労、脱水状態(熱中症)などが引き金となって心房細動を引き起こすこともあります。

    心房細動の危険性

    心不全

    心房細動が起こると、心臓の動きが不規則になり過度な負担がかかってしまいます。それにより、心不全のリスクが高まる可能性があります。

    心不全

    脳梗塞

    心房細動が起こると心房で血液が滞ってしまい、血栓の形成リスクが高くなります。生じた血栓が動脈を伝って脳の血管に飛ぶと脳梗塞に至ります。実際に脳梗塞の約15%は、心房細動が原因で生じる血栓によるものです。
    心房細動による脳梗塞は、大きな血管を閉塞させる傾向があり、手足が麻痺で動かなくなるなどの重篤な後遺症を残すリスクが高まります。高齢者や、高血圧、糖尿病、心不全の既往歴がある方、過去に脳梗塞を経験した方は特に発症しやすいとされています。

    心房細動の検査

    心電図検査

    心電図検査は心房細動の診断において最も一般的とされている方法です。体に害がなく簡単におこなうことができ診断につながります。心房細動をはじめとする不整脈診断の基本です。

    ホルター心電図検査

    心電図検査は医療機関内で実施されるため、ご自宅内で発生した心房細動が院内で収まっていると、結果は「正常」と判断されてしまいます。しかし、24時間装着できるホルター心電図をおこなうと、常に心電図検査をし続けているので動悸などの発作が生じたタイミングで心電図測定ができ、その症状が心房細動でおきたものなのかを診断することができます。そのためその他の不整脈も調べることができる有用な検査です。

    携帯型心電図検査

    携帯型心電図検査は、心房細動の発作が稀で24時間ホルター心電図でも確認できない場合に有効です。この検査では、患者様に2週間ほど小型の心電図装置を携帯していただき、動悸が生じた時や決められた時間帯に心電図データを取得します。

    心臓超音波検査

    心臓の大きさや形態、動きを確かめることができる検査です。心房細動の患者様にとって左心房の大きさは特に重要で心房細動のカテーテル治療での治りやすさがわかります。

    血液検査

    甲状腺疾患や貧血といった、心房細動を引き起こすリスクのある病気を検査します。さらに、BNP(ブレイン・ナトリウム利尿ペプチド)などの値を測定して心臓の負担度を評価し心臓疾患が併存していないかどうかを確認することができます。

    心房細動の治療

    脈が速くならないようにする内服薬治療

    心房細動が一時的に発生する場合は、発作の頻度に応じて予防薬や発作を止める薬を服用し、発作の発生を抑えます。ただそのような内服薬は副作用が強いこともあり最近では長い間、内服継続することは少なくなってきました。そのため後述するカテーテル治療の重要性がさらに高まっています。
    また心房細動であることを許容して、心拍数をコントロールすることで症状緩和に努めることもあります。こちらは長い間でも内服継続することが比較的容易にできると言われております。

    脳梗塞の予防

    脳梗塞の予防として、血液をサラサラにする抗凝固薬を服用します。脳梗塞へのリスク因子の数で内服するかどうかを決めます。リスク因子は心不全、高血圧症、75歳以上、糖尿病、脳梗塞などがあります。抗凝固薬の中には食事制限が必要なものや、腎機能に応じて量を調節する必要があるものなどもあります。患者様1人ひとりの状況に応じて、適切な薬を選択します。

    カテーテル治療(手術)

    心房細動の治療法として、学会が出しているガイドライン上でも近年推奨度が上昇しているのがカテーテルアブレーション治療です。先述した通りに不整脈を抑える薬は強力な薬が多く、長期内服には適さないケースが多くあります。そこで根本的に解決してしまうのがこのカテーテルアブレーションです。専門性が強い治療なので一昔前は限られた医療機関でしか行われていませんでしたが現在では多くの施設で行うことができます。この治療を希望される方には、専門の医療機関へご紹介します。

    左心耳閉鎖術

    カテーテルを用いた脳梗塞予防の治療方法です。左心房から耳たぶ状に突出する左心耳と呼ばれる構造物は、血の塊(血栓)が形成されやすい部分で、心房細動が原因の血栓の多くはこの左心耳で発生します。「WATCHMAN」と呼ばれる左心耳閉鎖システムをカテーテルでこの左心耳の入口に留置して閉じてしまうことで脳梗塞を予防します。日本で治療が始まったのが2019年なのでまだ歴史が浅い治療ではありますが全国的にも治療件数は増加傾向です。この治療を希望される方には専門の治療医療機関をご紹介します。